インプラント
インプラント治療が適さない患者さんについて
インプラント治療が適さない患者さんについて
不精な方
一般的にお口の中の自己管理不良、生活習慣不良によって、抜歯を余儀なくされる歯が多数存在するような方は、改心しない限りインプラントをしたからといって、また同じ過ちを繰り返すリスクが高いと言えます。例えるなら、ADHDの疑いのない方で、一度ゴミ屋敷を清掃業者に委託してきれいにしてもらったとしても、自己改革がない限り、また同じ過ちを繰り返し元の状態に戻るのと類似しているでしょう。
治療後のメンテナンス(検診)をしない方
一度、インプラントよりも素晴らしい天然歯で失敗した人が、メンテナンスや専門家のサポートを受けずに、人工のものを長期間維持することが困難なことは、考えなくても想像できることでしょう。安易にダイエットのために脂肪吸引して、またリバンドするのと似ているかもしれません。
経済的にギリギリの方
失活歯(神経のない歯)が多数存在したり、歯周病傾向が強い口の中の状態の人は、後々、歯が折れたり、動揺したりして抜歯を余儀なくされることが多いと言えます。一般的に良心的な歯科医は、何年間は使えるであろうと予測できる歯を抜歯し、インプラント、ブリッジ、義歯にしません。そのため、不幸に後々それらの歯が抜歯になった場合、固定式のものを希望するのであれば、再びインプラントをする必要がでてくることを頭にいれておくべきでしょう。勿論、義歯(入れ歯)を受けいられる方なら、問題はありません。また、戦略的抜歯といって、現在使えるのに将来悪くなるであろう歯を抜歯し、端からインプラントをする方法もありますが、非常に難しい判断だといつも思います。例えるなら、お金もないのに見栄で高級料亭に行ったり、高級車に乗ったり、ブランド品を購入するためにキャッシングし、こんなはずではなかったと後悔するのと似ているかもしれません。
欠損部(喪失部)しか治療希望されない方
長年口の中の多数歯欠損部を放置した場合、いろいろな残存歯の動きが生じ、歯列不正になったり、かみ合わせが狂ったり、欠損部に歯を入れるスペースが無くなったり、また残存歯が歯周病に罹患していたりします。そのため、それらを補正、予防するため、口の中全体をみた治療が必要になってくることは言うまでもありません。(奥歯がないのに、前歯だけインプラントとか、反対が噛めず片側だけのインプラントを希望するとか、欠損部の上の歯が下に伸びてきているにも関わらず、それを補正せずインプラントを希望するとか、感染予防である残存歯の歯周病の管理を希望しないとかです。)例えるなら、木をみて森を見ずといったところでしょうか。勿論、長く放置されていない局所の欠損、外傷欠損は、例外かもしれません。
重度顎関節症、精神疾患、極度の神経質の方
重症の方は、ほとんど聞く耳を持ちません。自己主張の塊です。私の一つの基準ですが、噛み締めグセのある人は、いつ発症してもおかしくないと考えています。というかほとんどの不定愁訴を訴える顎関節症の患者さんは、これが要因だと今では思っています(他にもホルモンバランス、口呼吸など)。噛み合わせが原因と主張する方に対してですが、1日に食事のときしか上の歯と下の歯が当たらないのに、なぜ短時間の噛む力によって身体にいろいろと影響を与えるようになるのか不思議でしょうがありません。理想的な歯並びの人でもよく不定愁訴を経験しますし、不正咬合の人でも全く問題がない人もいるのはどう説明するのでしょうか?噛み締めぐせによる持続的な力が一次要因になり、背骨、咀嚼筋、顎関節に影響を与えるという理論の方が個人的には納得できます。素直に自分がそういう気質があるとお考えの方は、横の力に弱いとされているインプラントには慎重になられたほうが賢明かもしれません。
重度アレルギー体質、化学物質過敏症、非定型歯痛既往の方
これらもインプラント埋入が引き金で、不定愁訴を訴える可能性があるかもしれません。
16歳以下の方
成長の関係で、インプラントが低位になります。
重度の全身疾患の方
現在重度の糖尿病、心疾患、膠原病、癌、、重度の骨粗鬆症などを患っている方は、血糖、ステロイド、BP製剤、放射線療法の関係で控えた方が賢明かもしれません。
一生持つものだと考えている方
もし、一生(50年)もつものであれば、私自身が健全な歯を抜歯してインプラントをやってもらうと思います。世の中の物で、何もせずに50年もつものが存在しますか?自分の明日の命もわからないということを冷静に考えてみれば、自ずとわかるはずです。勿論、適切な自己管理、メンテナンス、生活習慣、全身健康管理が成されている場合、長期の使用は可能と言えるでしょう。
口の中に価値観を見いだせない方
賢い人は、早い段階から歯が喪失しないように安い費用で定期検診をし予防指導を受けていますが、何も築かず究極に口の中が悪くなった方が、それ相応の口の状態に戻るためには、費用、改心が必要であることは言うまでもありません。口は万病のもとと言われるように一つの臓器と捉えるのなら、高級料理、高級車、骨董品、盆栽、ブランド品、旅行、娯楽は二の次になるのではないでしょうか?健康あっての趣味、嗜好だと思います。まあ、この辺は、本当に価値観の問題だと思います。明日の命もわからないじゃないかと思う方と5、10年後をみる方の違いと言えるかもしれません。即ち、生き方の問題でしょう。
タバコを吸う方
すべての歯科治療にとって百害あって一利なしでしょう。勿論、インプラントに悪いとわかっていて受けいれられている方なら問題はありませんが、失敗のリスクの増加や予後はよくないことをご理解されておいたほうが賢明だと思います。
安易にインプラントを標榜しているところなら転医も可能だろうと考えている方
インプラントのメーカーも100社以上あるため、すべてのメーカーに対応できる歯科医院は少ないと思います。一般的にインプラント施術医は、自分の存命中は、術後のトラブルも自己で解決しようと考えている歯科医が多いと思います。しかしながら、術前に十分に説明しているにもかかわらずメンテナンスも行わず勝手に了解なく放置または転医した、全身管理が必要なくらい重度の全身疾患を患ってしまった、施術医が亡くなってしまった、閉院してしまった場合は、どうしようもありません。勿論、後者3つに関しましては、公的機関が引き受けてくれると思います。不幸に当院にも他院のトラブル患者さんがよく来られます。患者さん自身に問題がある場合や十分なカウンセリングを受けずにインプラントを行ってしまったという方が多いことを実感します。勿論、当院から他院に流れている患者さんがいることも否定しませんが、こんなはずではなかったと後悔しないようにしてください。ほとんどの志あるインプラント施術医は、患者さんの利益のため、リスクを顧みず、ストレスを溜めながらインプラントを行っていることは紛れもない事実だと思います。しかし、一部拝金主義のようなインプラント屋がいることも事実とも言えます。